2018年2月の記事

公立入試2018 社会 問5(イ)

2月15日(木)

 
問5(イ)
消費税は(あ)という傾向がある。また、消費税は、税金を負担する人と税金を納める人が異なることから、(い)税に分類される。

(い)に入る語句は「間接」。
消費税は間接税に分類される。
(あ)に入る選択肢が

A. 商品の価格が高くなるほど価格に占める税額の割合が高くなる。
B. 商品の価格が高くなるほど価格に占める税額の割合が低くなる。
C. 所得が少ない人ほど所得に占める税負担が高くなる。
D. 所得が少ない人ほど所得に占める税負担が高くなる。

この4項目から選択しなければならないが、私は「解なし」だと断定したい。
正解は「C」ということになっているが、公立入試問題の中で「消費税は逆進性課税」として決めつけてはいけない。

<消費税がかからないもの>
・家賃
・医療費
・高校や大学の授業料
・フリマなどの個人間の取引
→個人間での不動産売買(中古住宅など)は非課税
・土地

<消費税がかかるもの>
・上記以外の多くの商品購入、サービスの提供を受けた際の費用。


<住居費>
家計の中でかなり大きな比重がかかっているのが、住居費。

年収1000万円のAさんが6000万円(4LDK)の新築マンションを買うとする。

土地分が2000万円、建物4000万円とすると、消費税は4000万円×8=320万円。
さらに管理費と駐車場代は課税対象なので月額合計を5万円とすると、毎月4000円。年間48,000円かかる。
自家用車の購入費、ガソリン代、メンテナンスにも消費税はかかる。

年収400万円のBさんが、家賃7万円(2DK)のアパートを借りているとする。
家賃なので、消費税は非課税。
自家用車は持っていない。

30年後も消費税が8%だとすると、AさんはBさんより464万円消費税を払うことになる。

<光熱費>
4LDKの方が、2LDKよりも光熱費は当然かかる。その分消費税も多くなる。

その他細かいシュミレーションをするまでもなく、年収1000万円のAさんは年収なりの出費があり、Bさんも年収400万円なりの出費がある。
Bさんが頑張った自分へのご褒美で年に数回外食したとしても、金額はそう多くはない。
しかしAさんはBさんより高級食材を日常的に食べていると想像できる。
もしAさんが営業職だとすると、自分の給与以外に接待費として消費できる部分もある。
さらにBさんが自営業者で、年商が1000万円未満なら非課税業者で法人としての消費税支払いは免除される。

生涯支払う金額で考えると、介護を受ける際、Bさんは消費税がかからないサービスしか選択できないかもしれない。
しかしAさんは入居費用が数百万円する施設に入ることが出来るかもしれない。
介護施設の入居費用は非課税だが、食費や日用品は課税対象で、それなりの費用がかかる。
AさんとBさんの生活水準を同じとして考えてはいけない。

消費税が8%になった時、手のひらを返すように「外税・内税どちらの表記も可」になり「消費税還元セール禁止」と規制をかけた国政に対して、
神奈川県は入試問題を通して反旗を翻したのだろうか。
公民の教科書を確認すると「消費税は逆進性の問題がある」とは書かれているが「逆進性である」とは書かれていない。
上記理由で、入試問題としてこの4つの選択肢は適切ではない。
より適切なものを選択せよ」と出題するのなら、この問題は
「商品の価格が高くなるほど価格に占める税額の割合が低くなる、という問題がある
とすべきだ。